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今回の比較企画は、現行SONYの量産ハイエンドモデルである
MDR-SA5000。
国産ダイナミックヘッドホンとしては最高峰に位置する
Qualia 010のDNAを受け継ぐモデルとして、注目を集めた。
また、発売同時期には同じく国産ヘッドホンとしてはしのぎを削りある
audio-technicaのATH-AD2000ともバッティングし、
発売から4年以上たつ今でも国産開放型ハイエンドヘッドホンとして
今なお店頭に並ぶロングセラーモデルでもある。
いつものとおり、基準となるCD900STと比較して
SA5000がどのような機種であるかを見てみようと思う。
(図の凡例については、下記記事参照のこと。
http://puredigital.blog.shinobi.jp/Entry/26/ )
1.音質傾向
非常に高音がしっかり鳴っていて、特徴的である。
いわば、逆ピラミッド型の音構成。スピード感にあふれている。
かといって、高音が耳に刺さるような不快な感じはしない。
良くも悪くもダイナミック型らしくない音で、
STAXのような静電型の繊細さ、特にSR-404と非常によく似ている。
開放型らしく閉塞感を全く感じず、音場が非常に広い。
解像度は非常に高く、モニタ的な要素が強く感じられる。
全体的に線が細い音という印象。
音がやせているのではなく、きれいな高音づくりを目指した結果のように思える。
聴く音楽のジャンルや好みによって
人を非常に選ぶモデルといえる。
2.楽器特質
低音の量が絶対的に不足しているので、
迫力や量感がどうしても足りなく感じる。
管楽器や弦楽器は音の艶や煌びやかな響きは美しいが、
温かみ、低音楽器の豊かさはあまり感じられない。
吹奏楽やフルオーケストラよりも、弦楽アンサンブルなどの
小編成の音楽に向いている。
ポップスやフォークソングなど、音が軽めの音楽にも向いている。
音の細かい粒がはっきりと分かるので、バッキングのギターや
打ち込み系の細かい音は聴いていて気持ちいい。
ただ、ボーカルに関しては、温かみが少なく冷たく感じる。
中低音域が足りないので声が薄く、痩せて聞こえるのが原因か。
原音忠実というわけではないが、
どの音を鳴らしても小奇麗な音を鳴らしてくれる。
ヘッドホンだといかに低音が出るかがひとつのポイントではあるが、
SA5000に限っては、それとはまた別次元の、興味深い音になる。
3.装着感の悪さ
装着感は非常に良い。
やや側圧が締め付けられる感じはあるが、長時間使用に支障はない。
側圧が強く感じられるのは、イヤパッドが硬いからだと思われる。
イヤパッドは、天然皮革だがツルツルした素材で、
肌と密着する部分は蒸れやすいが、ヘッドホン自体に閉塞感はないので
それほど蒸れを意識することはない。
ヘッドバンドは布製で接触する面積も広いため
頭頂圧はほとんど感じない。重量も分散されているため、非常に軽く感じる。
コードが珍しい布製のため、タッチノイズも最小限に抑えられている。
4.本体機構の悪さ
ヘッドバンド調節が、目盛りはやや粗いものの、
アジャスタがついているので調節しやすく、ずれにくい。
全体的に小さくまとまっているものの、
本体を支える各種部品が細く、やや脆弱に感じる。
(量販店の展示では、破損したSAシリーズをよく見かけるので
耐久性はやや不安なところだ)
コードが非常に軽く、また癖が全くつかないのが特筆したいところ。
正直な感想を言うと、SA5000のサウンドは、
私の理想とするサウンドとは少々離れている。
低音がどっしりと構えたピラミッドバランスの音を好むので、
あまり出番がないのも正直な実情だ。
しかし、たまに聴くと、これがなかなか非常に魅力的な機種であることも事実だ。
ヘッドホンの個性という意味では、SA5000も他のヘッドホンにはない
独特の音を鳴らす。少なくとも、ダイナミック型でここまで
繊細で高音域がきれいなヘッドホンはそうそうないだろう。
ノリではなく、スピード感を求めるとき、
ガラス細工のような繊細な音を聴きたい時にはSA5000が相応しい。
ハイエンド機種として、万能型であるとはとても言い難いが、
使い分けを楽しむ機種としては「こういう音を出すヘッドホンもあるのか」という
よい参考になる。局所的な長所もあるので、
ハマリ役のジャンルが見つかればしめたものだ。
SA5000でいえば、楽器数が少なく、低音が支配的ではない
ポップスや小編成アンサンブルでその能力が良く現れる。
好きなヘッドホンで好きな音楽を聴くのもいいことだが、
SA5000を手に入れたら、逆に「このヘッドホンが得意な音楽は何だろう」と
ヘッドホン側に合わせて音楽を探すという楽しみもできた。
独特のデザインも特徴的。付属のヘッドホンスタンドもシンプルながら
個性的なそのヘッドホンを際立たせるのに一役買っている。
ただ、天然皮革とアルミのスタンドは水分に弱いので
手入れをしないとイヤパッド、スタンド両方に跡がついてしまうので注意。
SA5000の高音・解像・空間の能力は、凄く高いものを持っているんですね。
GS1000と似たような音質傾向に見えますが、
SA5000の高音の方が質が良いみたいですね。
ソニーには、また密閉型の大物を発売してほしいなぁ。
私がDX1000の空間表現に引かれて購入したのも、昔CD3000を愛用していたからなんですよ。
ところで、HD800、予約されたんですね。
だおさんは、GS1000やSTAXなど開放型の
ハイエンドを多数所有しておられるので、
それらとの比較が楽しめますね。
コメント、ありがとうございます!
SA5000は、世間では比較的地味というか、
持っている能力に対してあまり良い評価をもらえていないような気がします。
というのも、きっとSA5000は同時期に発売された
qualia 010の廉価モデル(悪い言い方をすれば安物、劣化版)として
とらえている人があまりにも多いからではないかと、
個人的には勝手に思っています。
実際に聴いていくと、確かにオールマイティではありませんが、
個性は非常にあるので、楽しいモデルなんですけどね。
HD800と、実はPS1000のバランス版も購入予定です。
せっかくバランスアンプを持っているので、
メーカー正規で出しているバランスヘッドホンを購入しないわけにもいかないので…(苦笑。
どちらもまだ手元に届くのはまだまだ先の話ですが、
聴き比べができる日が楽しみです。
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