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ハイエンドヘッドホンと、デジタルオーディオの可能性を追求し続ける「だおさん」の紆余曲折blog。週1回(日曜日)or不定期更新。
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KC380061.jpg     0724_cd900st.jpg

今回の比較レビューは、STAX現行では唯一の、
そして世界初の密閉静電型イヤースピーカーである4070。

もともとこのヘッドホンは完全受注モデルで、
用途も完全に業務用モニターとなっているため、
リスニング用途のハイエンドモデルとは一線を画する。
検音機種としては日本のみならず、世界的に高い評価を受けている。

以前、SR-404との比較を行ったが、
今回はいつものとおりMDR-CD900STとの比較し、
できるだけ客観的に4070という機種を分析したい。
完全受注モデルということで、店頭試聴が滅多にできないため、
購入を考えている方に少しでもイメージが伝われば幸いだ。

hika_4070.jpg

(図の凡例については、下記記事参照のこと。
 http://puredigital.blog.shinobi.jp/Entry/26/

1.音質傾向

とにかく、高音域が突出していて、それが美しい。
中音域は平均的、低音はやや足りないが、
全体的なバランスは崩れておらず、これはこれで整った音を鳴らす。
音の立ち上がりが非常に素早く、密閉型もあって音の繊細さがケタ違い。
解像度の高さは、ヘッドホンのみならず、数ある音響機材でも
世界トップクラスといえる。

ただ、それが「いい音」として聴けるかどうかはまた別の問題で、
中音域と低音域が主張しないおかげでどんな音楽も非常に淡白になる。
この要素が、この機種の好き嫌いを決める決定的な要素となりそうだ。

密閉型ではあるが、音自体の閉塞感はそれほど感じず、
一定の空間を感じることができる。


2.楽器特質

音の立ち上がり、反応性が非常に高いため、
特に細かい音、繊細な音に対しては異常なほどリアルな再現力がある。
生楽器の音については申し分ない性能。ソロ演奏で最大の能力を発揮する。
全合奏やトラック数の多い音楽では、解像度の高さが災いし、
非常にざわついた、落ち着きのない音になってしまうのは、
リスニング用途としてはややマイナス。

打ち込み系については、音が入り組んでいればいるほど驚異の性能を発揮する。
音の粒がすべて明瞭に再生されるので、CD900STと比べると
驚くほどの情報量の差がある。
ただ、すべての音が正確にならされるために、やや雑然とした印象がある。
また、低音の量はないので、打ち込み系の本来の音楽性が損なわれていることがある。

打楽器も、音の細かさ、スピード感は唯一無二の表現力があるが、
中音域と低音域の厚みが足りないため、迫力には欠ける。


3.装着感の悪さ

ヘッドホンの中でも圧倒的な重量を持つ機種のため、
着け心地はあまり良くない。長時間着用は、局所的な痛みこそないが、
鈍い疲労感が主に首や肩にのしかかる。

密閉型だからというわけではないが、イヤパッドが非常に蒸れる。
また、イヤパッドがやや薄く、側圧がやや強いため、
ある程度使用していくとイヤパッドがつぶれ、ドライバ部に耳が触れることがある。

ケーブルについては、STAXのおなじみのケーブルで、
重量感があるものの、タッチノイズがハウジングまで伝播することはない。


4.本体機構の悪さ

本体は、全体的に頑丈に作られており、
精密なドライバ部は強固なハウジングでしっかり保護されている。
他のSTAXモデルに比べて、取扱いにそれほど過剰になることはない。

ヘッドバンドはフリーアジャストになっており、装着は簡単。
機構も単純かつ頑丈に作られているので、
普通に取り扱っていれば、そうそう簡単に破損することもないだろう。


私がすべてのヘッドホンを聴いてきたわけではないが、
4070は、間違いなく世界トップクラスの性能を持ったヘッドホンだ。
(STAXの場合はヘッドホンといわないほうがいいのかもしれないが)
単純に音響機材としての能力を比較すれば、SR-007Aをも超える。
音の圧力と迫力を得た代わりに繊細さを失っているダイナミック型とは違い、
音、突き詰めれば物体の振動を最も正確に表現できる機種、
それが、この4070といえる。

ただ、性能が高ければ必ずしもヘッドホンとして優れているかといえば、
また別の話だということも4070が教えてくれた。
一切味付けのない音を鳴らすため、どの音も暖かさがなく、
冷たく淡白な表現となってしまう。
結果として、音楽の持つ美しさや温かさが感じられず、
また、精密な音を鳴らすために、
結果として録音や演奏の粗がはっきりしてしまい、
音楽を楽しむことから遠ざかる音づくりとなってしまっている。

ただ、異常なまでの反応性の高さとスピード感は唯一無二の個性であり、
4070で聴く音楽は独特の切り口で、なかなか面白い。
上記でも述べたが、トラック数が多くなればなるほど、
サウンドとしてはまとまりのない雑然とした音になるのだが、
別の言い方をすれば音の波にのまれるような圧倒的な情報量があり、
それを個性として楽しめれば、4070の使い道は増えてくるだろう。

私はドンシャリのサウンドが好きなので、
低音成分が弱い4070は好みから外れた機種になるはずなのだが、
それを差し置いて有り余るほどの性能、音の個性があるため、
実はSR-007Aよりも使用頻度が高い。
どんな音楽も美しく、音楽的な魅力にあふれた再生を望むなら
SR-007Aが優れているだろうが、
リスニングヘッドホンとしてはちょっとした変わり者の音、
独特な個性を楽しむ使い分けなら
“無機質”の個性が強い4070を使ってしまう。
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無題
レビューお疲れ様です。
高音・解像の性能がMAXとは…ついでに重量感も。
祭りで装着したときも、これは重い! 長時間聴くのは忍耐がいりそうだと思いました。

「音質を考えたらハウジングは、さらに大きい方が良いのです」
と、STAXブースの方が仰っていましが…今のまま実現したら、首周りの負担が凄いことに。

ところで、STAXのヘッドホンは、高音が耳に刺さらないですね。音の輪郭がかなり細身だと思うのですが。この点が、ダイナミック型とは違うということなのかなと、思いました。

バランスPS1000も加わると、オープン型の最高級機の共演となりますね。さらに、SONY Qualia010もあれば、日米独と国際色も豊かになりそうです。
plto 2009/05/30(Sat)02:10:51 編集
Re:無題
pltoさん
コメント、ありがとうございます!

解像度については、以前SR-007Aで満点をつけたことがあるんですが、
SR-007Aが10点だとしたら、4070は11点にしなければならないと後悔しています(苦笑。
SR-007A以上の解像度が出せるはずはないと、採点当時思っていたので
4070は群を抜いたモニター能力を持っていると思います。
ハウジングが大きいほうがいいというのは、低音の量と音場感かなと思います。
しかし、そこが改善されたら007Aの出番がなくなってしまうので(苦笑
4070は今のままでいいのかなと思います。

STAXは高音が刺さらないという以外に、音量を出さなくても音がきれい、
細かい音がつぶれないという特徴もあり、耳にとても優しい音です。
静電型が根強く支持されている理由でしょうね。

PS1000は納期不明とのことですが、
Balanced Home Ampも数カ月待たされた覚えがあるので
じっくりあせらず待ちたいと思っています。
qualia010はSA5000で代替できるかなと無理やり思っているんですが
評判を聞く限り、やはりそういうわけにはいかないみたいですね…(苦笑。
【2009/05/31 18:30】
HPAデビュー
レビューと関係ない上にハイエンドには程遠いですがようやくヘッドホンアンプ購入しました

価格的にも性能的にも所有ヘッドホンとの相性も良さげ?何より近場の量販店に入荷したての一台でこれも縁かと持ち帰りました

ネットでの情報で危惧してたノイズも感じられず上手く表現できませんいい感じです
とりあえず我が家のヘッドホンのポテンシャルを引き出すって箱の記載の性能発揮して欲しいです
しばらくはヘッドホンやCDをいろいろ組み合わせたり楽しめそうです
坊SE 2009/05/29(Fri)17:39:26 編集
Re:HPAデビュー
坊SEさん
コメント、ありがとうございます!

ヘッドホンアンプ、購入おめでとうございます。
ヘッドホンアンプというのは、正直実体が良くわからない代物なので(笑)、
手に入れるまで紆余曲折してしまうものですが、
これでまたヘッドホンへの世界が一つ開けたかなと思います。

ただ、難点は、一度ヘッドホンアンプを手に入れてしまうと
より良いヘッドホンへ…さらにはより良いヘッドホンアンプへ…と
スパイラルに陥ってしまいやすいところでしょうか(苦笑)。

まずは、新しく手に入れたアンプと今持っているヘッドホンを
最大限愛してあげてください。
【2009/05/31 18:23】
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2016/11/25 - あっという間に時が流れ、このblogも開設から10年目。2016年はその締めくくりをしたく思っています。2000年代後半にハイエンドの虜になった、一人のマニアの軌跡です。

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