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ハイエンドヘッドホンと、デジタルオーディオの可能性を追求し続ける「だおさん」の紆余曲折blog。週1回(日曜日)or不定期更新。
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dx1000_2.jpg      0724_cd900st.jpg

今回の比較レビューは、VictorのHP-DX1000。
CD900STとの比較は今回で19回目となるが、
これで私の手持ちヘッドホンはすべて比較レビューしたことになる。
次にCD900STとの比較レビューをする機会があれば、
みなさんご存じのあの機種やあの機種が手に入った後ということになるだろう。

DX1000については、長らく国産木製ヘッドホンの代表機種として君臨し続けたモデルだ。
今ではDENONのD5000、D7000をはじめ、
同じくVictorのHP-DX700という弟分が今年の2月に発売されており、
木製ヘッドホンにもある程度の選択肢が広がった。
しかし、DX1000の存在感は今なお強いものであることに変わりはない。

「いかにもヘッドホン」という風貌をしたDX1000だが、
その音は意外にも個性にあふれた異色モデルである。


hika-dx1000.jpg

(図の凡例については、下記記事参照のこと。
 http://puredigital.blog.shinobi.jp/Entry/26/

1.音質傾向

特徴的なのは、中低音域に重心を置いた、重量感のあるサウンド。
ドライバから地で鳴らす低音ではなく、ハウジングが共鳴するかのような
ダイナミックな低音は、他のヘッドホンでは体感できないほどの
ボリュームと圧力で満ちている。

イヤパッドの厚みのためか、音が遠く感じる。
密閉型だが、それほど閉塞感は感じず、空間を感じることが可能。

他のハイエンド機種と致命的に違うところは
音の応答性、反応速度が非常に低い。
音のスピード感や鋭さがないため、繊細さが感じられない。
解像度が低いわけではないが、原音からは若干離れている。


2.楽器特質

どのジャンルを聴くにも、CD900STよりはだいたい優れている。

弦楽器は、全合奏の迫力は問題ないが、
個々の楽器の繊細さ、弦が振動しているという感じまでは到達しない。
弦楽アンサンブルなど、楽器数が少なく繊細さを必要とする音楽は苦手。
逆に楽器数(もしくはトラック数)が多ければ多いほど、
音をまとめる能力にたけているといえる。
ある意味、この特徴はATH-W5000とは対極の存在だ。

低音から高音がどっしりとしたピラミッドバランスで成立しているため、
打ち込み系の音楽が意外と聴きやすい。
ただ、細かい音はやや鈍さを感じるため、もっさりした音が嫌いな人には
逆に打ち込み系が合わないと感じるだろう。

声については、女声は高音成分がやや足りず、音が曇って聞こえる。
男声はDX1000の得意な音域をしっかりカバーしていて、
程よい艶と音の厚みが再現されている。
男声・女声ともに、ボーカルは厚みと温かさが程よく表現されている。


3.装着感の悪さ

大型ヘッドホンで、それなりに重量があるが、
それを分散させる機構がない、非常に単純な作りのため、
比較的強い側圧と頭頂圧を感じる。
ただ、重量が一点に集中することはないので
長時間の装着はそれほど問題ではない。

ぴったりと密着し、イヤパッドの接着面積は大きいので、
やや蒸れは気になる。

コードは布繊維で覆われているため、タッチノイズはそれほど気にならない。


4.機構の悪さ

作りは他のハイエンド機種に比べて複雑ではないので
機構も見たとおりわかりやすく、かつ頑丈にできている。
ちょっとサイズが大きい以外は、見た目も作りも
ありふれた普通のヘッドホン。


DX1000を購入する前まで、あまり主張しない地味なモデルだと思っていた。
実際、試聴コーナーで聴くDX1000は全体的にフラットだった覚えがある。
ネットでの評判も、それぞれ差はあれど、おとなしいモデルとして評価されているように思う。
しかし、今手元にあるDX1000は、edition9を超える低音と
やや遠目から鳴る音はスピーカーシステムを彷彿とさせる、
非常に個性的で興味深いサウンドになっている。
DX1000を暴れさせているのは、間違いなくHeadroomアンプのお陰だろう。
そして、DX1000は使う機器次第で暴れることができるポテンシャルを持っているといえる。

DX1000は、その「大人しい音」という印象があったため、
購入はわりと最後までためらっていたのだが、
実際に聴いたその元気なサウンドと、他のヘッドホンにはない独特な距離感で
今では使用頻度がトップ3に入るほど高い。

ただ、このヘッドホンは音の色づけが面白い機種であって、
本物らしい音からは離れている。
音楽を聴いていて楽しい機種であることに間違いはないのだが、
あまりDX1000で耳を鳴らすと本来の音を見失いがちになるので
ヘッドホンコレクターの人は上手に使い分けをするべきだと思う。
対極ではあるが、前回紹介した4070とDX1000を交互に使うと
ヘッドホンを使い分ける楽しさを強く感じられる。
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無題
レビューお疲れ様でした。
DX1000、何という低音ホン。
CARAT-TOPAZでは、DX1000の低音はD7000に大きく差をつけられているのですが、だおさんのレビューを見ると環境によっては逆転も有り得そうです。

空間表現は、突出して良いというほどではないようですね。距離を感じさせる鳴らし方が、結果的に空間を広く感じさせているということでしょうか。
だおさんのレビューを見て思ったのですが、やはり
空間表現は開放型の方が上手のようですね。

DX1000が発売された頃は、まさかこんなに木製ヘッドホンの選択肢が増えるとは思いませんでした。
しかも、いずれも限定販売じゃないところが良いですよね。
その中でも、DX1000は本体にシリアルナンバーが付いていり、メッセージカードが付いていたり、特設サイトが良く出来ていたりと、開発者の情熱が感じられるのが印象的でした。
plto 2009/06/05(Fri)20:56:13 編集
Re:無題
pltoさん
コメント、ありがとうございます!

DX1000は、店頭試聴ではそれほど低音が濃い機種とは思わなかったので
購入をずっと先延ばしにしていたのですが、
手に入れてみたらびっくりの低音量でした。
この低音は、ドライバユニットから直に鳴らす音ではなく、
この木製ハウジングあってこその低音なのだと思っています。

DX1000はvictorの本気が詰まった、真の意味でのハイエンドだと思います。
それはヘッドホン本体の作りはもちろん、付属品や公式サイトにも
よく顕れていると思いますね。
もともとはヘッドホンのみの購入だったのですが、
溺愛ぶりに後から専用ヘッドホンスタンドを購入したくらいです。
こだわりの逸品、その執念が伝わるからこそ、
このヘッドホンがいとおしいと感じられるのかもしれません。
【2009/06/07 20:09】
買い換えた気分
いつも返信ありがとうございます。仰せに従い我が家のハイエンド交代で聴きまくりです あ、購入したアンプはテクニカA900用とも呼ばれてるらしい同社のHA20です 上手く表現できませんがULTRASONE HFI-580共々買い換えたみたいに…というか実力を一歩前進して発揮してくれてるんでしょうね

それと20年位の年月と余りに短い付き合いで忘れてましたがソニーのCD900(STとか無かったような?)が私の初高価ヘッドホンです

誰だったかに踏み潰されました(T_T)

坊SE 2009/06/01(Mon)23:26:21 編集
Re:買い換えた気分
坊SEさん
コメント、ありがとうございます!

ヘッドホンアンプは、初めは敷居の高い機器ではありますが、
手に入れればヘッドホンをより活用できるようになりますよね。
ただ、ヘッドホンアンプを手に入れると、
次はより良いヘッドホン、そしてより良い機材…と
ヘッドホンスパイラルの入り口にもなっているので
是非とも計画的な音響生活を楽しんでください(笑)。

CD900はCD900STの前身、20年前くらいのヘッドホンですね。
CD900は折り畳みができたので、STよりも汎用性が高かったかもしれません。
海外モデルの7506なら折り畳みできますけど…。
【2009/06/07 19:58】
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