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ハイエンドヘッドホンと、デジタルオーディオの可能性を追求し続ける「だおさん」の紆余曲折blog。週1回(日曜日)or不定期更新。
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0724_se205.jpg    0724_cd900st.jpg

今回の比較は、1973年製のアンティークヘッドホンSE-205。
どこからがアンティークヘッドホンかという議論もあるかもしれないが…。

発売30年経過しても、ちゃんと音は鳴る。
音自体は、エージングを超えた完全な経年劣化の気配も感じられるが、
所持したヘッドホンは大事に使っていきたいものだ。


(図の凡例については、以下記事参照のこと。
 http://puredigital.blog.shinobi.jp/Entry/26/

se205.jpg

1.音質傾向
致命的なのは、高音域がまったく出ていないこと。
どの楽器、どの音を鳴らせてもAMラジオの音質。
低音はCD900STと同等のものを持っているため、
パワーだけは感じることができ、20年前のヘッドホンとはいえ、
これだけパワーが出れば、それだけでも評価したい。
解像度はまったくない。クラシック系弱音部では音が完全に消える。

2.楽器特質
どの楽器においても、高音域が出ないという致命傷で
褒められる部分がない。
クラシックは、音の空間もなく響きもない、舞台袖で聴く音に似ている。
男声も女声も必要としている音域が出ていないので
音が伴奏と濁って埋もれてしまう。
打ち込み系だけは、かろうじて聴ける。キック系の音が救いか。

3.装着感の悪さ
平均よりちょっと悪いくらい。側圧が若干強く感じられる。
イヤパッドは、人口皮革のようなビニール製のため、蒸れやすい。
重量感も感じる。4070を経験した後だとマシに思えるのだが
これでも十分重たい。

4.本体機構の悪さ
コードがCD900STとほぼ同じ材質で、癖がつきにくく、扱いやすい。
ヘッドバンドは無段階調節でフリーアジャスト。
フリーアジャストではなく、単なる劣化かもしれないが、
いちおうしっくりとはまってくれる。
可動部が脆くなっているが、逆に30年経って故障していない点を褒めるべきか。


ハイエンドヘッドホンのありがたみがわかった今回のレビュー。
CD900STに付け替えるだけで「ああ、いい音だ」と素直に感心する。
さすがに20年前の機種とだけあって、
現代とは音の作り方や方向性はかなり違っているだろう。
再生機材の性能も、現代の方が圧倒的に高いだろうから
時代背景を抜きにして一概に悪口を言うことはできない。

つまるところ、1970年代といえば
フォーク音楽やオーケストラをバックにした歌謡曲の時代で、
現代の打ち込み音楽のような強い音圧や刺激的な高音・低音が無くても
音楽の味は表現できた。そして、CDもまだ登場していない、
カセット・レコードプレイヤーでもあったため
当時の機器が発揮できる帯域もこの程度で十分だったのだろう。

高音域が出ていないのはもともとの作りというより、
エージング…いや、文字通りのドライバ部の劣化ではないかとも思う。
高音域がちゃんと出ていれば、一万円未満のヘッドホンとしては
低音がちゃんと出てるし、バランスも良くなるはずなので
これはこれで個性のあるヘッドホンであると評価できる。

これぞヘッドホンだと言わしめるような風貌も
一部マニアには受け入れやすいような気がする。


次回は、廉価帯ヘッドホンとしては低音好きに好まれている
ATH-PRO5V。低音が大暴れするbalanced home ampとの相性に乞うご期待。

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