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ハイエンドヘッドホンと、デジタルオーディオの可能性を追求し続ける「だおさん」の紆余曲折blog。週1回(日曜日)or不定期更新。
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yasumono.jpg

この機種の型番だけでも知っていたら、
相当なヘッドホンフリークだろう。

言ってしまえばこれは安物ヘッドホン(耳かけ型)で、
購入時の価格は¥1980。ヘッドホンマニアになる前、
PCで音楽を聴くとき用に購入したもの。
当時ヘッドホンマニアではなかったが、音がイマイチなのはわかったので
その後、MDR-Z600を購入してからマニアの道に駆けだした。

比較企画はこれまでハイエンド機種を中心として評価してきたが、
ここはひとつ、久しぶりの耳試しも兼ねてこの機種で比較評価してみた。

比較をするのは、値段が7倍もするMDR-CD900ST。
ドライブする機種は828mkII(10万円)+balanced home amp(40万円)。
同じ機種を250個購入できる。
このヘッドホン開発者もこんな状況で音を鳴らすことなど想定すらしていないだろう…。


(図の凡例については、以下記事参照のこと。
 http://puredigital.blog.shinobi.jp/Entry/26/

rphs40.jpg

1.音質傾向
どの音域をとっても安物の音だが、強いて言えば逆ピラミッド型の
シャリついたサウンド。低音はCD900STの比較ですら
CD900STが恐ろしく低音ヘッドホンに聴こえてしまうくらい。
解像度も絶望的で、音がべったりと平面的。
しかし、何気に空間の表現は良い。
音が漏れるからか、開放型的な自然な音場が垣間見れる。
CD900STに比べたら、音の閉塞感の無さで一応優れている。

2.楽器特質
何を聴くにも低音不足で高音が足りない。
女声がどの声・音域でも刺さるような刺激があり、非常に不快。
男声も、半端な中音域が突飛していて耳が痛い。
弦楽器と木管楽器は本物からほど遠い。
弦楽器は分厚いカーテンの奥で演奏しているような感覚で
弦の振動するという印象がCD900STの比較でも一切感じられない。
木管楽器も厚みや温かみが全くなし。薄っぺらい音。
唯一、金管楽器は高音域が活きている…と褒めれるぐらい。

3.装着感の悪さ
耳かけ型なので
装着感の良さだけはヘッドホンとは比較にならない。
耳に引っかかる感覚は、一般の眼鏡のものより
ちょっときついのが気になるくらい。
高級機種なら装着感はもっと良いのかもしれない。

4.本体機構の悪さ
安物だが、意外にコードの癖は付かない。
耳クリップ型なのでヘッドホンのようにヘッドバンドの調節もない。
質素な作りゆえ、多少乱暴に扱っても早々壊れそうにない。


CD900STで比較すること自体がすでに弱い者いぢめだが、
しかし、世間一般の人が使用するヘッドホンとは、
この程度の性能のものがほとんどなのだ。
もちろん、音よりもファッション性や、音質より音楽そのものを楽しんでいる人が
大多数だからこそ、mp3を使ったり圧縮音源の音楽配信、
挙句の果てには携帯電話の音楽機能といったものが流行る時代なのだろう。

人間の声が非常に耳に悪い出力をする。
サ行がきついヘッドホンはこの世に数多くあるが、どの声のどの音域も
耳に刺さるような音を出す機種はそうそうない。
これでボーカルものを聴き続けると耳に悪影響が出そうだ。

耳かけ型はファッション感覚で使う方も多いが、
実際は開放型的な音場を楽しむのが本来の使い方。
散歩やジョギング等スポーツ用途には優れるが、
電車など人混みで使うべきものではない。

最近は音漏れに配慮されたモデルも多いが、
小型化の音質ならインイヤーのバランスドアーマチュアのほうが良いし、
ダイナミック型ならオーバーヘッドのヘッドホンのほうが
音を鳴らすのに必要最低限のドライバの大きさを確保できる。
このモデルでまともな音を出す機種は数えるほどだろう。


次回は、アンティークヘッドホンSE-205。
現代最高峰のアンプでドライブしたアンティークヘッドホンの実力に乞うご期待。
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