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ハイエンドヘッドホンと、デジタルオーディオの可能性を追求し続ける「だおさん」の紆余曲折blog。週1回(日曜日)or不定期更新。
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現在私が持っている機種について、
CD900STを比較対象とした比較企画を行っていたのだが、
某所で「W5000の評価があまりにも低いのではないか?」という指摘を頂いた。
確かに、他のヘッドホンと比較しても
W5000はCD900STとほぼ同等の性能と伺える点数になっているのは確かである。



以下は、3月2日に公開したATH-W5000の比較評価グラフである。
w5000_cpr.jpg
価格帯を考えれば、静電型であるSR-404は除いたとしても
ESW9より相対的に悪い点数になるのは、合点のいかない人も多かっただろう。
W5000といえば、ヘッドホンポータルの超大手「ヘッドホンナビ」で
辛辣な評価がなされている点でも、愛好者の人は心を痛めているのではないだろうか。

上記点数については、W5000をはじめ
全ての機種について2時間以上にわたる厳密な比較結果から出したもので、
この点数を訂正するつもりはない。
しかし、個人的にはW5000は好きなヘッドホンの1つでもあり、
愛好者の方が怪訝に思われること、ましてやアンチW5000と思われるのは心外のため、
この評価を補足する形で、W5000を擁護したいと思う。

[[ W5000は、強すぎる音圧に弱い ]]

例えば、比較音源を全て弦楽アンサンブル、環境音や
シンプルな編成のヒーリングミュージックだった場合、
W5000はかなりの高得点をつけることが出来ただろう。
しかし、今回比較に用いた音源は、クラシックも大編成のチャイコフスキー、
インストゥルメンタルも音圧が高く、太いギターの音だったため
結果としてW5000の欠点を出すだけの楽曲をそろえてしまった。

上記のようなW5000が少しでも有利になる音源をもっていなかったことは
実際に比較を始めた時に後悔した点ではある。


[[ W5000は、情報量が多すぎると弱い ]]

比較企画のときにも記述したが、W5000はハウジング自体に
エコーのような擬似的で独特な空間の鳴らし方をする。
これが災いして、情報量が多いとそれにエコーをかけてしまうから
音が混沌・混濁し、音で満ちている音楽、クラシックのトゥッティも苦手なのだ。


以上の2点が、W5000の点数が低くなってしまった要因である。
しかし、W5000は決して悪いヘッドホンではない。
それは、以下の用途に特化することで、最高のパフォーマンスを発揮するからだ。

[[ リラックスできる音楽を聴きたいとき ]]

小編成の音楽、ヒーリング系などといった、穏やかな音楽の場合、
心地よく自然な音響効果をもたらすのがW5000の最大の良さ。
私の例で言えば、edition9やSR-007A、GS1000の場合、
音への忠実な再現、曇りのない音の透明度の高さは特筆できるが、
それは同時に耳を神経質にし、疲れさせる要因でもある。

装着感の心地よさもあいまって、ただ単純に、音楽で癒されたい時。
そういう要望に見事に応えたヘッドホンの1つである。

[[ 静かな音楽へのパフォーマンスの高さ ]]

擬似的なエコーのような空間表現。これは単純な編成であればあるほど、
その効果を最大限に発揮する。
ある意味、原音忠実という意味では離れるものの、
いうならば、絨毯張りの部屋で聴く小さな音と、
小さな木造ホールで聴く小さな音。どちらが心情に訴えるか、だろう。

例えば、チャイコフスキー交響曲第1番の第2楽章のオーボエとフルートのソロ、
いきものがかり「茜色の約束-acoustic version-」のようなシンプルなアコースティック、
霜月はるか「いのちと約束」のボーカルソロ、など。
他のヘッドホンでは得られないような、背筋がゾクゾクするような音響効果は
W5000でしか味わえない。


長くなってしまったが、結論としては
「使い分けてこそはじめて威力を発揮するヘッドホン」
ということになる。
盲目的にW5000を良しとはいえない。しかし、適材適所で表現できる
W5000の強さは他を圧倒する。それを、是非わかっていただきたい。
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