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ハイエンドヘッドホンと、デジタルオーディオの可能性を追求し続ける「だおさん」の紆余曲折blog。週1回(日曜日)or不定期更新。
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「ヘッドホンにそれだけ投資するなら、スピーカーを買うべきだ」
ヘッドホンの道に入り込んだ人ならば、一度は言われているであろうセリフ。
では、それでもなおヘッドホンに進むのは何故だろうか。

極論を言ってしまえば、ヘッドホンは手軽なのだ。
占領する空間や労力、知識、金銭的な面においても…
どれをとっても本格的なオーディオシステムを組み立てるよりも
入りやすい入り口で、そこそこ楽しめる。

では、制約条件が一切なければスピーカーを購入するのか。
ヘッドホンを知らなければ、Yesと答えるだろうが、
ヘッドホンの世界を知った今では、そうではない。
同じ音を鳴らす機器、ヘッドホンとスピーカーだが、
目指す先はまったく異なる。
どちらが優れているか、ではなく、
どちらが目的に近付いているか、が重要なのだ。


あなたがそれでもヘッドホンにこだわる理由は、何だろうか。
あなたの目指す音は、ヘッドホンでなければ到達できないのか、
それとも、スピーカーへの代替手段でしかないのだろうか。
ヘッドホン界隈では暗黙のタブーとされている、
スピーカーとヘッドホンの関わりを、少し語りたい。


090726.jpg

一見すると、単なるテレビラックに見えるが、
こちらは3.1chラックシアター、HTR210-K(Panasonic)である。
左右チャンネルに加えてセンタースピーカー各65W、
サブウーファー90Wは2基備わっている。
総合定格出力は285Wだ。

サブウーファーの威力は絶大で、
アクション等重低音が絡む音については映画館さながらの迫力である。
また、ドルビーバーチャルサラウンドによって
立体的な音響表現がなされる。

通常の音楽CDを再生したときも印象としては、
ダンスミュージックやロックなどの低音が支配する音楽では
腹に響くような重低音が特徴的だ。
ただ、全体的に制動力に欠け、厚みはあるものの
ややもっちりとした音に違和感を覚えることはある。

オーディオ的な観点で見れば、
このオーディオラックはエントリーモデルの設計だ。
フルレンジスピーカーではどうしても表現できる音域が限られるし
実体感としては本物とはややかけ離れている感がある。

価格は約8万円。ヘッドホンでいえば
AKG K701 Silver Dragonとほぼ同等の価格だ。
そもそもラック部(木製+天板はガラス製)などの原価を考えれば
音声出力部のコストはもっと低いと思われる。
ちなみにヘッドホンで実施しているような
クリーン電源や高品質ケーブルなども使用していない。


さて、ヘッドホンに並々ならない意欲を注いでいるつもりではあるが、
そんな私がこの程度のシアターシステムで満足できるのかといえば、
実のところ、満足している。
ヘッドホン、というより音楽鑑賞をするときは
とことん音に集中するので、些細な音にも気を配りがちだが、
シアターラックの場合、何か映像に乗せて使用することがほとんどであり、
音に対する神経がそこまで集中することはないのかもしれない。

もちろん、上質なシアターシステムを手に入れれば、
今以上の満足が得られるのかもしれないが、
そんなシアターシステムを考慮するなら、
空間や反響、電源など色々工面しなければならないので
現実的に難しいという面と、(現時点では)そこまでの熱意はない。


簡単にまとめれば、私のような考えは少数かもしれないが、
ヘッドホンとして音楽をとらえる場合と、
スピーカーシステムとして音楽をとらえる場合とで
考え方がずいぶん違う気がする。
ヘッドホンの繊細さをスピーカーに期待しよう、もしくは
スピーカーの迫力、実体感をヘッドホンに期待しようとは
ほとんど思わず、それぞれの持つ得意分野で楽しめれば…
という感情を持っている。

私はヘッドホンには極限の性能と個性を求めるが
スピーカーシステムは一定基準の音が出ればいいという
安上がりな思想なので、金銭的にはラッキーではある。
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スピーカー願望
私はヘッドホン使ってますが、本音を言えばスピーカーにしたいです。

スピーカーだと

まわりに迷惑がかかる
まともなスピーカー環境を組めない(部屋等)
金がない

以上の理由から仕方なくヘッドホンを使っています。
どう考えても私はスピーカーのほうが楽に音楽を聞けると思います。
だって・・・頭に何もつけなくていいんですからw

将来的にはスピーカーにしたいと思ってますが、大変ですよね~・・・
まみそ URL 2009/08/01(Sat)14:59:05 編集
Re:スピーカー願望
まみそさん
コメント、ありがとうございます!

やはりヘッドホンを使っているユーザには、
スピーカーに対する憧れなり、コンプレックスなりを
少なからず持っている気がします。
装着感は往々にしてヘッドホン使用時のネックになっていることは
確かです(特に今の季節は蒸れたりして…)。

極限まで極められた音響設備は
空間を再現する、と言われています。
いわば、擬似的なタイムスリップです。
そういう体験を、一度でいいからしてみたいと思います。
ただ、今の私の経済力ではとても無理…(泣。

スピーカーの難しさといえば、
佐藤浩義氏の「原点回帰オーディオセッティング&メンテナンス」という本が
詳しいですが、これを読む限り、
やはりスピーカーは色々とハードルが高いなぁと
尻込みをしちゃいます…それに立ち向かう情熱があればいいんですが(苦笑。
【2009/08/02 20:04】
無題
どうもこんにちは。ご意見失礼します。


冒頭の言葉ですが、別にスピーカーを買えて事はないと思いますが、上手くセッティングされたスピーカーの音をいくつか聴いておくべきだとは思います。
個人的かつ単純な理由ですが、ヘッドホンはあまりに至近距離過ぎて、逆に捉えられない部分があると感じます。地上を離れて、空から眺めないと分からない風景が有るのと、似たようなものです。

ついでと言ってはなんですが、シアター用じゃなくてピュア用の10万円クラス(実売7~8万)の音を聴いて、その上でヘッドホンと比較しないと、ちとかわいそうじゃないんでしょうか。
既にどこどこのこんな風にセッティングされた音を何度も聴いた、持っていたと言う事であれば、何も申しませんが、情熱と多少のコストさえあれば、案外スピーカーも安くて手軽で魅力ある、いい音が作れると思いますよ。
よく、このヘッドホンの音をSPで再現しようとすると100万円は下らない、なんていうフレーズがありますが、あれこそナンセンスで、「百聞は一聴に如かず」だと思います。

それでは。
エスティー 2009/07/30(Thu)00:04:02 編集
Re:無題
エスティーさん
コメント、ありがとうございます!

きっと反論来ると思って待っていました(苦笑。
私自身、確かにピュア界隈のほうはかなり疎く、
ちゃんとセッティングされたスピーカーの音というものは
聞いたことがありません。

オーディオフェアや試聴会などで好みだなと思ったのは
JBLのリファレンスモデルやTANNOYの音で
1時間ぐらいじっくり聴いたこともあります。が、
スピーカーで重要なのは反響も加味した音響空間だと思っています。
そうなると、ちゃんとしたオーディオルームを持って
正しい定位で試聴できる環境が望ましいですが…
少なくとも私の知り合いではそういう環境を持っている人がいません(泣。

私が耳の指針にしているのは、
大学まで続けたオーケストラの演奏者としての、そして
指揮者としての聴覚です。
以前記事にしたことがあると思いますが、
演奏者・指揮者が聴こえる音とホールの客席で聴く音には
かなりの差があり、ヘッドホンは前者寄りです。
私がヘッドホンを好む理由は至近距離での音楽で生きてきたから、
慣れ親しんだ時間が長いせいもあるのでしょう。

まあ、お金がない、場所がないというのも本音です(笑。

「地上を離れて、空から眺めないと分からない風景が有るのと、似たようなものです。」
言いえて妙ですね。確かにその通りです。
ヘッドホンの音が好きなのは大いに結構ですが、
それが全てではない、視野を広く持とうと常日頃から意識したいものです。
【2009/07/30 21:45】
またまた更に迷走
スピーカー…我が家では音質云々以前に音量満足にが困難につきの不戦勝です

そしてauボックス導入したんで音楽用にポータブルのいいの導入しようかという衝動が
これまで以上に外出時の使用が増えそうだしポータブル探しで当分楽しめそうです

かさばらないならコレクションするのもいいかもしれないし使い分けも

ゼンハイザーやベイヤーはポータブルでデビュー?

今度の休みが待ち遠しいです
坊SE 2009/07/28(Tue)17:25:59 編集
Re:またまた更に迷走
坊SEさん
コメント、ありがとうございます!

どうしてもアパートとか密集した住環境だと
スピーカーが本領発揮できない場合が多い気がします。
音が漏れるとはいえ、開放型で漏れる音量はたかが知れていますし、
装着するだけで何でも聴こえるヘッドホンは優位になりがちですね。

ポータブル機種といえば、一昔前なら
SENNHEISERのHD25の一人勝ちだった時代が懐かしいです。
もちろん悪くはないですが、私としては日本製で音も見た目も味がある
ATH-ES9をお勧めしたいところですね(値段高いですが)。

ベイヤーはポータブルに向かないかもです…。
音もまったりしているので、室内聴き候補がいいですよ~。
【2009/07/30 21:35】
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